まずはじめに、皆さまに謝らなければなりません。
僕がTacticoという名前で株価のチャート表示とスクリーニングをするWindowsデスクトップ向けアプリをフリーソフトとして公開したのは記憶が定かでありませんが2005~2006年かと思います。前身のOmegaChartは2001~2002年あたりでしょうか。
しかし公開後、きちんとメンテナンスする意欲を失ってしまい放置状態になってしまったのですが、それにも関わらず現在に至るまで少数ながら継続使用しているユーザがいることは認識していました。そういう貴重なユーザと真剣に向き合ってこなかったこと、またこのソフトウェアの潜在的需要があることを見逃してきたこと、かつその状態を長期間放置してしまったことはお詫びいたします。たいへん申し訳ない。
しかし、当時の経緯など全く知らないという方も多いでしょうから、このソフトウェアでできることをまず簡潔に説明してきます。
- 強力かつ柔軟なスクリーニング。上昇率ランキングのような単純なものはどの証券会社のツールにもありますが、Tacticoではスクリプトを書くことでさまざまなスクリーニングを柔軟に記述できます。スクリーニング内容を他のユーザとシェアすることとも簡単です。
- 複数銘柄のチャートを一括表示できます。特に32インチ以上の大型ディスプレイなら、50程度の数の銘柄のチャートを一覧表示可能です。これは投資家にとっての銘柄発見機能を強化します。
さて先ほどの話に戻ると、放置してしまった理由はいろいろあります。リーマンショックで金銭的に厳しい状況に追い込まれたこと、子供が4人もいて余暇的なプロジェクトをやる余裕がなくなったこと、自分の技術的興味が他に向いてしまったことなど。その間も、「いつかはTacticoを何とかしなければ」というのは心の片隅に常にありました。
なお、「心の片隅に常に」あったのは、数カ月に1回ずっとやってくる、「マウスホイールで銘柄がクルクル探索できるのが気に入っている」というフィードバックでした。そこまで好評になるとは予想せずに実装したちょっとした機能なんですが、これがなかったら永久に放置していたかもしれません。確かにこれも他社のツールにはないポイントです。
そんな具合に長期間もやもやしていたんですが、時間の経過とともに状況は変わるもので、数年前からの仮想通貨への集中投資でFIREといっていい状態になったり、子供の成長とともにだんだんと細切れながら時間的余裕ができたりで、ひっそりとTacitco再始動の活動を始めたのは昨年初めくらいのことです。
そしてようやく、一般のユーザに使ってもらえるくらいになってきた、というわけです。長らく放置していたついでに、アーキテクチャをクラウド時代のWebアプリとして一新しましたが、ソフトウェアの思想は当時と全く変わっていません。以下3カ条です。
- 株式投資は極めて面白いゲームである。作戦を立て、実行し、結果を検証するのは第一級の知的活動であるうえ、成功すれば金銭的成功がついてくる。Tacticoはこの面白さを感じる「自ら考える投資家」のためのツールである。
- Tacticoはテクニカル分析(正確には、過去の株価データから計算可能なデータのみに注目する分析)に特化する。コンピュータの力を使ってテクニカル分析を最大限に効率化する。
- 過去の株価推移を人間の感情に伝えるグラフィック技術を究める。単なるローソク足の羅列を超え、人間の感性に訴える表現方法がいろいろあるはずなので研究する。むろん、感性は人それぞれなので唯一の正解があるものではないが、映画のマトリックスやレディ・プレイヤー・1に張り合えるレベルを探求したい。
まだ再始動プロジェクトは始まったばかりです。今度はユーザのフィードバックのある限り放置することはありませんので、言いたいことのある方は遠慮なく意見をお寄せください。ソフトウェアは作る側・使う側の双方の意欲が揃ってはじめて発展するものです。よろしくお願い致します。